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広報に取り入れたい!「ストーリーテリング」とは【ベテラン広報に聞いてみた!】

2023.8.23

ストーリーテリングとは、物語や体験談を通じて具体例を出しながら伝える手法で、聞き手に強い印象を残す手法として様々なビジネスシーンで使われています。最近、広報でもストーリーテリングを用いた手法が注目されつつあります。 今回は、その理由とストーリーテリングを使った広報戦略について詳しく見ていきましょう。

ストーリーテリングの背景は「ヒト」消費

ビジネスにおける人間の消費行動は「モノ・コト・ヒト」に分類されていると言われています。「モノ」は、”商品やサービスそのものの価値”、「コト」はその商品やサービスを購入することに対して得られる”体験”、そして「ヒト」はその商品を売っている”誰か”を指します。

一昔前は「モノ」の消費時代が続きました。
例えば、携帯電話が普及し始めた頃は、カラーの液晶やカメラ付き携帯電話、着うた機能など次々と新しい機能が追加されていくことに価値を感じ、新商品を求めていた人も多いのではないでしょうか。

しかし、現代では一定の品質が保たれているのが当たり前となり、「モノ」の価値や品質の良さだけでは商品は売れなくなりました。次に消費者が求めたものは「コト」=体験です。
例えば、期間限定のイベントや体験教室など、その時にしか味わえない体験を求めていくようになりました。

そして、「コト」への需要も飽和状態になりつつある昨今、私たちの消費行動は「ヒト」=誰から物を買うのか、ということに価値が移り変わっていると考えられているのです。

商品を売り出す過程や経緯に共感して物を買う時代が本格的になった場合、今までの広報のやり方では商品やサービスを売ることが難しくなります。
そこで、広報戦略に取り入れていきたいのが「ストーリーテリング」となるのです。

ストーリーのコツは3つの価値を見せること

ストーリーテリングとは、「物語を語ること」。
つまり、その商品やサービスが誕生するまでの物語を伝える手法です。商品開発やサービスを提供するにあたり、どのような経緯があったか、開発の裏側を見せていきます。
開発者からすれば、弱みを見せたくないのが正直なところですが、「失敗や経験をさらけ出し、それを乗り越えて今に至る開発秘話」「隠された苦労話」にこそ、人々は共感したり興味を持ったりするものです。

共感を生み出すポイントは3つあります。

1つ目は上述した「自分の失敗や経験をさらけ出すこと」。2つ目は「社会的課題を解決するものか」。3つ目は「読み手を思いやる心が感じられるか」ということです。

「社会的課題を解決するもの」というのは、具体的に『商品やサービスを利用することで得られるものは、人におすすめできるクリーンなものか』ということ。いくら素晴らしい商品だとしても、環境や健康被害があったり、誰かが悲しむようなことに陥る商品だとしたらおすすめすることはできません。

「読み手を思いやる心が感じられるか」というのは、読み手に対して失敗させないよう配慮されている気遣いが感じられることで、こんなにも私のことを思って商品を紹介してくれているという共感を得ることができるのです。

さらに、ストーリーテリングを活用するエピソードは、感情をうまく組み込むことが効果的と言われています。

例えば、多機能時計の商品をPRしたいならば、「多機能の時計を開発するまでには様々な苦労がありました」と抽象的に言われても響きません。
「他社の製品と比較して、自社ならではの特徴、独自性を生み出すまでに10年かかりました」と開発苦労話を組み込むことで、その商品のバックグランドが見えてくるようになりますよね。

ここに感情をプラスすると、「他社の製品と比較する上で、『自分たちのアピールするポイントがない』と苦しみ、途中でこのプロジェクトを中止するか否かという話にまで発展しました」と当事者の当時の感情を乗せるとどうでしょうか。
その商品により感情移入しませんか?

感情が揺さぶられる表現やストーリーを組み込むことで、人の心はさらに動かされていきます。

まとめ:人は感情で動かされる。広報にもストーリーテリングを

ものが溢れている現代で、人は何に価値を感じて消費行動を起こすのか。
誰から買うかが重要となる「ヒト消費」の時代は、もう既に始まっています。商品やサービスがどれだけ素晴らしい機能を有しているか、どれだけ質の良い素材を使っているかといった表面的な情報で広報する時代は終焉を迎えたと言っても過言ではありません。

「ストーリーテリング」の手法をうまく取り入れながら、より消費者の感情に訴えかける情報発信や広報活動を意識してみてはいかがでしょうか。

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