COLUMN
最強チームになるためのミッション・ビジョン。浸透の要は?
2023.9.12
この広報コラムでは、プラスカラー取締役の斉藤が日々インプットした情報をご紹介するとともに、広報に難しさを感じている企業の経営者様や広報ご責任者様、現場で広報活動と対峙しながら次の一手を模索している広報ご担当者様に向けて、今までの広報経験をもとにした知識・ノウハウを共有していきます。 コラムをきっかけに気づきを得て、自考・自走していくための一助となれたら幸いです。
目次
強固な組織を作るために指針が欲しい!と思うこと、ありませんか?
経営者仲間と毎週月曜日に朝活をしているのですが、最近よく「組織づくり」が話題に上がります。20〜30名規模のメンバーで構成された会社の経営者が多いため、同じタイミングで同じような悩みが出てきます。
たとえば・・・
最近入社したばかりの〇〇さんが会社のカルチャーやルールに馴染めなくて困っている。
前職ではバリバリ活躍していたはずなのに、うちではパフォーマンスが発揮されない。
苦労して採用した人がすぐに辞めてしまった・・・など、人にまつわる悩みは尽きません。
悩みを聞いていて、ふと感じた共通点がありました。それは、社内ルールや社内で大事にしている価値観が明文化されていないということ。
メンバーがまだ数名の段階では、コミュニケーションを密に取れる距離感ということもあり、阿吽の呼吸で仕事もできるし、大事にしている価値観も似た者同士が集まるため、あえて言及しなくても空気感で分かり合える場合がほとんどだと思います。しかし、人数が増えてくると様々なバックグラウンド、カルチャー、ルールを持った人が集まるため、空気感だけではまとまらないことも頻出。そんな時に必要となるのが、「ミッション・ビジョン・バリュー」です。
経営陣やメンバーを縦横に繋ぎ、みんなの共通認識となるものだったり、心の拠り所、最後に戻ってくる場所、どんなことが起きてもゆるがない企業ごとの核となる信念です。
終身雇用の時代が終焉を迎え、転職の一般化、副業の解禁など働き方は多様化し、人材の流動化が進む時代において、1つの組織に所属し続けるための「意味」と「価値」がこれまで以上に求められています。加えて、採用難が加速する一方である現代においては、従来型の母集団形成ではなく、自社にマッチする人材を確保し、長く働いてもらえるようエンゲージメントを高める取り組みが必要不可欠となっています。
今日は、そんな変化の激しい時代だからこそ強化したい「組織づくり」についてインプット&アウトプットしていきます。
前回の記事に引き続き、書籍「THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法」を解説した中田敦彦さんのYouTube大学の動画を視聴し、Googleやピクサーなどの一流企業、アメリカの軍隊で何度も実験・実証されてきた、「人間集団のかくあるべき姿」を参考にした「最強のチームのつくり方」についてご紹介します。
今日のインプット
中田敦彦のYouTube大学 – NAKATA UNIVERSITY
【最強チームのつくり方②】チームリーダーがすべき3つのルール
インプットした内容
〜〜前回のおさらい〜〜
1.最強チームづくりの条件
・①個人能力、②戦略、③カリスマリーダーは不要。
・「安心な環境づくり」が全て→「私はここにいていいんだ」という状況を作る
2.チームづくり妨害者の存在
①攻撃的な言葉遣いの人
②怠惰な言動をする人
③愚痴と文句を言う人
・安心な環境づくりのために、妨害者をメンバーに選んではいけない。
・安心な環境こそ、最高のパフォーマンスを発揮するチームになる。
・チームは連携が大事
3.妨害者を無効化する中和行動
・妨害者の言動に対し、中和するようなさりげない言動をし、和ませる。→空気を和ませることができれば最強チームを作れる
4.チームの中を深めるための帰属意識
①親密な交流
②個人の尊重
③未来への約束→最強メンバーはリーダーではなく、メンバー同士で作れる!
〜〜本日のインプット〜〜
5.最強チームを作るための工夫
①場所づくり
・物理的距離によってコミュニケーション量が変わる。6m以内の距離がベスト
・仲良くなりたい人の近くに住むと効果的
②発言権をみんなに与える
・発言権がないと自分は要らないのではないかと思ってしまう
③聞く力
・聞いている時は遮らない
・とにかく質問してリアクションをする
・チームが勝つにはキャッチャーが必要
6.リーダーのすべきこと
①権威にならない
・アメリカ海軍の事例。最も優秀な上司を聞いた時にNO.1に選ばれた上司は、実績を出している人ではなく、気さくなタイプの上司。自分のことを階級や肩書きで呼ばせない。命令ではなく意見交換を重視
・権威的な上司だと、上司の判断が間違っていた時にミスを防げなくなる。反論、反対意見も吸い上げられるようにしなければいけない。
・妨害は排除し、建設的な反対意見を吸い上げる必要がある。Yesマンだけを集めない。
・ピクサーの事例。映画が完成する前に社員に試聴させて意見を求める。その結果、トライアル版よりも完成版は傑作になりやすい→チームワークを活かすためにはいろんな意見を吸い上げ、取捨選択して完成に持っていく必要がある。
・反対意見はマイルドに言う。攻撃的でなければ反対意見は取り入れる。
②弱さを見せる
・リーダーは強い、この人には自分の意見は必要ないと思われると、完全に頼られるだけの存在に。弱みの部分を伝えることで、人が集まりやすくなる。
・リーダーが自分の弱さをオープンにしたら、メンバーも自分の弱さをオープンにする。そうすることで連携が生まれ、チームが機能する。
③繰り返し「イズム」を伝える
・土台がつくれた後にビジョンを掲げる。交流を持って関係を作った上でビジョンを伝える。大事なのは普段のコミュニケーション
・とある会社で、「自分の会社の理念を知っているか?」というアンケートを取った結果、上層部は64%の人が知っていると回答すると予想していたが、結果は2%だった。
・ビジョンだけでなくビジョンを持つに至るまでのストーリー(現在、過去、未来)を伝え続ける
インプット情報からの学び:ミッション、ビジョンの浸透は従業員が意識する状態作りから
「ミッション・ビジョンの浸透の前に、まずは組織の土台をつくることが大事」
動画の最後に紹介されたこの内容に、「確かにその通り」と深く頷きました。
社員の定着率向上やパフォーマンス向上を目的に、インナーブランディングや社内広報をやりたいと希望する企業様が最近増えています。ミッション・ビジョン・バリューがなくその策定からご相談いただくケースや、それらを浸透させるためのお手伝いをさせていただくケースがほとんどです。
その時に課題としてあがるのが、会社に興味がなく、帰属意識が薄いことから協力的ではない従業員が一定数いるということ。さまざま価値観をもった人たちが集まるため、従業員数が多い場合は、尚更その傾向にあります。
このパターンは、私も結構頭を悩ませます。
この動画でいうところの、いわゆる妨害者に近い存在なので、そうすると排除対象になってしまいますが、その人たちを無視して進めるわけにもいきません。
創業数十年のとある老舗企業さまにおけるインナーブランディング推進のご相談をいただいたときも同じような課題があがり、さてどうしようか、と広報さんと議論をしたことがあります。その時に試しに導入してみたのが、「一緒に働く仲間を知り、自分を知るワークショップ」です。
会社のミッション・ビジョンを常に意識し浸透している会社であれば従業員にとってミッション・ビジョンは身近な存在ですが、そうではない会社の従業員の場合、ミッション・ビジョンを意識しましょう!と言われたところでピンとはきません。
そこで、まずは身近なところから攻めようと、一緒に働くチームメンバー同士でお互いのことをヒアリングしあうワークショップを実施しました。
事前準備として、会社における自分とプライベートにおける自分に関する50個の質問に回答してもらいます。それをもとに2人ペアになり、質問項目の中から自分をより現す回答を3個ピックアップし、相手にプレゼンします。それを聞いた相手は、興味を持ったポイントを中心に深掘り質問していきます。これを、ペアを変えながら3セット実施するという流れです。
これをすることで、
①自分のことを伝えるので自分で自分のことを改めて知ることができる
②相手が質問して深掘ることで、他社目線で自分のことを知ることができる(自分では気づかなかった側面を知ることができる)
③相手のことを聞くので、メンバーについてさらに理解を深めることができる
というメリットがあります。
ポイントは、この質問の中に会社のミッション・ビジョンに絡めた質問を入れ込むこと。
これにより、自分視点とメンバー視点の両方からミッション・ビジョンへの興味や理解を深めることができるため、遠い存在で自分とは関係のないものと思っていたミッション・ビジョンを身近に感じ、意識するようになるという効果を狙ったのです。
このワークショップを実践していただいた後、メンバー同士の絆が深まり、ミッション、ビジョンに対して以前よりも自分ごととして受け止めるようになったと、広報さんからもご報告いただいています。
ミッション、ビジョンの浸透は一足飛びではいきません。
従業員が自発的に意識するようになる状態をまずは目指すことが重要だと、この動画を視聴して改めて実感しました。
<お知らせ>
上記の記事を読んで、自分たちのインナーブランディング、社内広報を見直したい、と思った経営者の方、広報責任者の方、プロ広報伴走型支援サービス「広報ライトプラン」をはじめてみませんか?
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