COLUMN
会社愛がある会社とは?帰属意識の向上に成功した事例を紹介【ベテラン広報に聞いてみた!】
2023.9.6
会社愛がある人を広報担当者におすすめしたい理由として、仕事のスピード感や熱意が全く違うことが挙げられます。生きた言葉で人は動かされるので、会社の商品やサービスを熱をもって語れる人は、広報担当者に向いているといえるでしょう。 一方で、環境や価値観の変化から、自分が働く会社への帰属意識や会社愛が薄れているというデータもあります。 そもそも、会社愛はどのようにしたら育てられるのでしょうか?今回は会社愛が低下しつつある現代で、会社愛を育てることに成功した事例をご紹介します。
目次
会社愛って必要?会社愛があるメリットとは
”広報担当者にとって欠かせない要素とは?会社愛が重要なワケ”では、広報担当者は『会社愛』を持っている人が良いと解説しました。
会社愛がある人が広報担当者になることにより、会社をより多くの方に知っていただく方法を自ら率先して考え、動く、活発な広報活動が期待できます。
このような会社愛というのは、いわば「会社に属しているから会社のために貢献したい」=従来の日本の働き方として、多くの人が持っていた帰属意識ですが、現代では、この帰属意識が薄れつつあると言われています。
「日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ」が2020年春から行ってきた帰属意識に対する調査では、テレワークを行う4人に1人が会社に対する帰属意識が弱まったと回答。テレワークの普及により、物理的な距離が広がったため、と推測されています。
参照:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」
会社愛低下の背景
会社愛低下の原因として挙げられるのは「終身雇用の崩壊」「コミュニケーション不足」「会社からの評価が得られない」などです。
「終身雇用の崩壊」が理由の場合、「雇用の安定性」によって会社に貢献しようという気持ちが培われてきたことが背景にあります。現代は、早期退職や転職が珍しくなくなってしまったため、「新人時代から育ててくれた会社に貢献したい」という気持ちが薄れてしまっているのが原因と考えられています。
「コミュニケーション不足」が理由の場合、対面でのコミュニケーションが低下したことによる弊害だと考えられます。現代では効率化や生産性向上のために、チャットツールなどを活用する機会が増えたからです。コミュニケーション不足を補うために、従来行われていた、社員旅行やイベント企画などを復活させている企業もあります。
「会社からの評価が得られない」ことが理由の場合は、自分の頑張りが報酬や労働条件に反映されないと感じているから起こってしまうと考えられます。不平不満が積み重なっていくことにより、会社愛が薄れてしまい、仕事に対する意欲の低下に繋がってしまうので、早急に解決する必要があります。
会社愛を育てるには?帰属意識の定着に成功した事例
現代の社会情勢や職場環境などを総合的に見ると、「会社愛」が育ちにくい状況に陥っています。そんな中、会社愛を育て、帰属意識定着に成功した会社があります。
今回は、3社をピックアップしてまとめました。
1.パーソルキャリア株式会社:ミッションは「自分ごと化」し取り込むこと
パーソルキャリア株式会社では、同じ課題に取り組む場合でも一人ひとりが「自分ならどう動くか」を考え行動することを重要視しています。また、一人ひとりの価値観は違うが、経験や努力によって向上できるという成長マインドを持って取り組むことを主体としています。
パーソナルキャリア株式会社の企業理念は「はたらいて、笑おう。」。自ら働くことを選択し行動することをモットーとすることで、従業員がやりがいを感じ、会社愛を感じる仕組みづくりを行いました。
2.株式会社オーディオストック(旧株式会社クレオフーガ):リモートワークと出社をバランスよく取り入れコミュニケーションを図る
コロナ以前からリモートワークを取り入れている企業。岡山本社と東京支社の2拠点あり、それぞれの拠点でリモートワークを行っています。コミュニケーションを図る取り組みとして、頻繁にチャットやツールなどを使って情報共有を行っているとのこと。また、齟齬や認識のズレを防ぐために、週1~2回の出社を行い情報共有を行っています。
3.サイボウズ:多様な働き方の先駆け的存在。個に合わせた働き方が選択できる文化へ
副業解禁、多様性の受容、リモートワークの推進、年功序列の撤廃など新たな取り組みを次々と取り入れ、時代に合わせた働き方を推進しています。2013年には、働き方のラベルを「時間」と「場所」を軸に9分類に分け、自分の働き方を周りに宣言するという新たな働き方を実施しています。これにより、今まで「長時間働くことがえらい」という価値観の脱却に成功し、一人ひとりの働き方を認め合う社風に変化しました。
会社愛を育てる具体的な広報施策とは?
会社愛、帰属意識を高める広報活動に寄与するのが、社内広報やインナーブランディングですが、具体的な手法としてはオウンドメディア運営、社内報などがあげられます。
例えば、従業員のエンゲージメントを高めるため、インナーブランディング施策を行っている場合、初めに自社の現状を知ることからスタートしていきます。会社に満足していることや不満に思っていることを洗い出した上で、会社に浸透させたい理念や考えを言語化していくのです。
例えば…
・なぜ会社は存在しているのか?
・会社が最も大切にしていること
・今後、会社はどのように成長していきたいのか など。
これらの言語化を具体的に行ったら、社内への浸透活動を行っていきます。社内浸透の際に従業員の認知度によって広報が対応することは変わります。
認知度が低い場合は、社内で従業員一人ひとりに知ってもらう必要があります。社内報やオウンドメディアを活用し、創業に至るまでの社長の想いやストーリーなどを見せていくと効果的です。ある程度社内での理解が深まったら、言語化した理念や目標を体現できているのか、定期的に見直す機会を設ける必要があります。
最終ステップとして、会社の目指す姿に向かって行動している従業員にフォーカスし、全社総会や表彰式などで発表することで、他の従業員も会社が求めている姿に気づくことができます。こ
のように、PCDAを繰り返しながら、インナーブランディングを社内に浸透させ相互理解を深めていくと、帰属意識が次第に高まっていく結果に繋がっていくのです。
まとめ:会社愛がある会社は、現代の社会情勢を上手く組み込み多様な働き方を認めている
従来の会社愛の考え方として「会社に属しているから会社のために貢献したい」が根底にありましたが、近年の会社愛というのは、多様な働き方を認めてくれたり、問題を自分で考え、自分ごととしてプロジェクトを進めていったりと「個の主張」が会社の理念と合致した際に生まれてくるものといえるでしょう。
社員に会社愛(帰属意識)を持たせていきたいと考えるならば、今回の事例を参考に、自社でできることはあるかどうか、考えていくと良いですね。
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