COLUMN
広報をアップデートせよ。日本経済活性化の要「WinWinのアニマルスピリッツ」を活かした新たな取り組み
2023.10.17
この広報コラムでは、プラスカラー取締役の斉藤が日々インプットした情報をご紹介するとともに、広報に難しさを感じている企業の経営者様や広報ご責任者様、現場で広報活動と対峙しながら次の一手を模索している広報ご担当者様に向けて、今までの広報経験をもとにした知識・ノウハウを共有していきます。 コラムをきっかけに気づきを得て、自考・自走していくための一助となれたら幸いです。
目次
志高く事業を進めていくのって、難しくないですか?
視座を高めることは経営者にとってとても重要なこと!と分かっていても、事業を進めていく中で難しい局面に対峙すると、目指す未来や目標を忘れてしまい、目線が落ちて目先のことを”ただやっている”という状況に陥ることはありませんか?
未熟な駆け出し経営者である私は、この状況によく直面します。
広報やIRという立場で、側から事業を見つめているときには、「視座を高く持つこと」「俯瞰して捉えて細部を捉えること」など、経営者の目線に立って考えよう、取り組もうという意識を持っていた自負があるのですが、いざ自分が当事者になると、不思議なものでとんと出来なくなってしまう。。。
つい最近もこのような状況に陥ったため、先輩経営者の皆さんの考えや視座の上げ方を参考にしたいと思い、インプットする情報を探しました。
本日のインプット&アウトプットは、「日本経済活性化の方法」についてです。
Youtube動画 PIVOT 公式チャンネルで配信されていた、「共助資本主義と躍動する30年」と題されたサントリーホールディングス社長・経済同友会代表幹事である新浪剛史さんの動画からインプット。
「さらば、現在維持病」のキーワードに目を奪われたこと、そして数々の会社のトップを歴任されてきた新浪さんが最近の日本社会・経済においてどのようなお考えを持っているのか知りたいと思い、動画を視聴しました。
今日のインプット
Youtube動画 PIVOT 公式チャンネル
【新浪剛史・経済同友会代表幹事】共助資本主義と躍動する30年
前編:https://youtu.be/JUivR3j_JMw
後編:https://youtu.be/jZ0DGQUIPHo
インプットした内容
1.資本主義について
・イノベーションを作り上げ、アニマルスピリッツを駆り立て、新しい社会を作っていく大きな役割。資本経済が起こした大きな問題は「格差を生んできた」こと。
市場が作ってきた失敗をどう改善していくか?世界はインフレになり、パンデミックが起こり格差がより問題になってきた。資本主義を見直す必要が出てきた。資本主義を否定ではなくどのように昇華していくか?が必要
・資本主義の3つの形
①アメリカのように徹底度合いが高い国
②日本、フランスなど社会の安寧を重視した国
③中国のように民主国家ではないが資本主義を伸ばしてきた国
2.共助資本主義とは?
①共助:安心・安定の社会。失敗しても包摂される社会
②アニマルスピリッツ:ステータスクオ維持(現状維持)の打破。思い切り挑戦できる社会
→この①と②を掛け合わせたものが「共助資本主義」。国や行政に加え、民間企業、NPO、NGOも一緒になって社会の格差をなくしていく。企業主導で両方にコミットしていく
・ステータスクオ(現状維持)になった理由
→今を守ろうとしたから明るい将来を作れなくなった。高齢化、少子化により何かを作ろうというエネルギーがなくなった。何かを変えるよりも今を生きる力の方が強まった。そのため、人よりも自分、コミュニティよりも自分ということを意識せざるを得ない世の中になった。
非正規が増えた。労働力の4割が非正規。社会の構造的にコミュニティそのものが包摂的でなくなり、正規が非正規に対し包摂的でなくなった。回り回って日本の経済力が落ちてしまった。
・企業がコミュニティの役割だったがそこが弱体化した。新たに包摂していく中でNGO・NPOがその役割を果たしていくためには?
→企業は人材、資金、ノウハウを持ってNGO・NPOと協力していく。問題解決の先にはビジネスチャンスもある。
→その結果、企業が参画することで、自分の会社が社会においてどういう役割を持っているのか、それに対して何をやっているのか=パーパスが明確になり企業価値が上がる
→会社そのものが社会になくてはならない存在になり、社員のやる気が上がり、企業の価値が上がるというサイクルができる。
→資本主義は企業の価値を永続的に上げていくもの。共助によって資本主義はより良い資本主義になっていく
・社会課題に取り組むと、中長期的な企業価値向上につながる
→社会からの評価が企業のレジリエンスを高め(なくてはならない存在になる)、企業価値算出においてもメリットを生む
→企業のリスクプレミアムを小さくすることができ、ディスカウントキャッシュフロー(DCF)法によって企業価値を定める
・アニマルスピリッツは、WinWinの社会になるために必要なもの
→アニマルスピリッツを持って誰かに勝つのではなく、パーパスの実現をしていく。
→WinWinになることで会社の価値は上がっていく。
→若者も年齢層の高い人もお互いWinWinになるためには、若者が目覚めること。そうすることで年齢層の高い人たちも「明日は明るい」と思えるようになっていく。
→「健全なる破壊」をやっていく。
3.パーパスを見つけるためには?
・パーパスのない会社はない。パーパスのない会社は会社としての存在価値はないので、存在していないはず。
・今まで自分たちは何をしてきて、今後どうしていくのか?「Who are WE?」を考え、言語化、再発見していく。自分たちのアイデンティティ、存在意義を考え続けることが大事
4.社会課題解決とビジネス創出
・ニューフロンティアビジネスの創出テーマ
→子ども、教育、ヘルスケア、グリーン
・企業だけではなくNPOと一緒にやっていく必要がある。社会課題はビジネスの種になる
5.ふるさと納税でNPOに寄付を
・企業、個人がNPO/NGOに対して寄付をする。寄付税制、制度を変えていく動きが必要
・企業、個人でも実際に寄付などしているが、隠匿の精神からあまり表に出ない。情報共有をすることでもっとやる人が増えていくようになる必要がある
・ソーシャルアントレプレナーになりたい、NPO/NGOに入りたいという若い世代が増えている。企業としては社員を応援する体制、例えば出校制度を作るなどエコシステムができてくるといい。
6.「子ども」というテーマに対して企業が行う少子化対策
・男性の100%育休取得が第一に取り組むべきこと。
・100%にすることは大変だがやり切ることで、男性も子どもを育てる大切さを知る。
・大企業だけではなく中小企業もしっかり議論できるようにしていく必要がある。
・少子化対策に向けて、中小企業における賃上げや空き家の利活用も必要。
7.グリーン産業について
・グリーンイノベーションによって新たなビジネスの種が生まれていく。
8.共助資本主義を実現するためには?
・「老壮青」の年齢の多様化、バランスが重要。老年は決して弊害にはならないし、青年だけではうまく回らない。
・「DEI」→D:Diversity(多様性)、E:Equity(公平性)、I:Inclusion(包括性)を大事にする。
・経済同友会での取り組み:
→共同研究・共同提言と実行を絡めながら行なっていく。
→出向、研修、兼業・副業、イベントなどの人材交流。ラーニングの中にネットワークがあり、ネットワークの中で共助資本主義を実現していく。
・日本の経営学のレベルを上げていく
→企業が社会の包摂性を提供できるようになり、結果的に企業の価値が上がったということをアカデミアとして研究していくべき。
9.経済同友会の役割
・横に軸を通していくこと。
・問題提起をしていきシンクタンクが考えていく場を作る。
・経済を動かすことは政治を動かすこととニアリーイコール。日本の政治も現代維持病である。政治に対してガバナンスを求めていく。
・経済の中心は民間であるという健全な状態に持っていく。
・シンクタンクではなくドゥタンクへ。一層ラーニングの場を作り、ラーニングの場の提供により意見出しを活性化していく。
10.経済同友会の推進力
・変革のための行動。行動するためには学びが必要、ネットワーキングすることで学びになる。
・安倍第二次政権の際、「賃上げをしましょう」と最初に言ったのは経済同友会。当時の同友会の代表である武田薬品工業の長谷川さんが動いたことでアベノミクスが始まった。このときのことを思うと少子化対策も同友会が中心になって推進していくこともできるはず。
11.経済同友会の成功とは?
・現状維持病を脱する。隗より始めよ、が必要。
・重厚長大街の企業が多いからこそそういう企業の価値をあげていくことが成功につながる。
12.まとめ
共助資本主義を実現するためのキーワードは、「WinWinのアニマルスピリッツ」。社会が良くなり、企業価値を上げるために必要なコアの考え方。Win -Loserのアニマルスピリッツより、みんなで一緒に勝とう!というアニマルスピリッツが大事。
インプット情報からの学び:目標達成のためにやるべきことに、全集中
日本社会がより良くなるためには、競争ではなく「協力・協調」が鍵となり、それが企業の価値向上にも結果的につながるというお話は、いまの世の中の流れとして非常にしっくりくるお話でした。世の中の流れとともに変革が求められるいま、私が注目したことは「健全なる破壊」、「変革のための学び」、そして学びを行動に変えるための「ネットワーク」の3つです。
時代が変わることで、いままで当たり前だったことは当たり前ではなくなるため、新たに生まれる発想・考えを受け入れることや、そういう新たなものがあるということを学ぶこと、その学びをシェアして1人ではなく仲間とともに実現していくこと、この流れが日本経済の活性化の要になるということです。
こう書くととても大きなことのように感じますが、この考え方自体は自分が携わる部署やプロジェクト、業務に当てはめて考えることができます。
例えば私たち広報においても、「健全なる破壊」「変革のための学び」「行動のためのネットワーク」は重要な要素となります。
グローバル化や市場環境の変化、人びとの価値観や消費行動の変化など、目まぐるしく変わる世の中に対して自社をPRしていくためには、プレスリリースを書いてメディアリレーションを行う、いわゆる王道広報だけではなかなか成果に結びつけることはできません。
X(旧twitter)、Instagram、tiktokを活用した「SNS広報」や、「共感を生むストーリーテリング」など、時代に合わせた広報手法が出てきていますが、日々の業務に忙殺されがちな広報担当者がこういった新たな手法を考え、取り入れていくことは、やりたくても実現に至らないことも少なくありません。
私たちプラスカラーも広報・PRのプロ集団として、従来型の広報活動にとらわれない手法を自ら試し、効果的なものはクライアントさまにもノウハウ共有させていただいていますが、このスピードをもっと加速したいと考えています。そう考えたときに重要になるのが、「健全なる破壊」「変革のための学び」「行動のためのネットワーク」です。
これらを兼ね備えた新たな取り組みを、2023年7月から始動しました。
<広報活動をアップデートする「広報コミュニティELspot+」>
“広報のサードプレイス“をコンセプトに掲げ、「広報同士の交流を深め、広報活動のアップデートを図る場所」として展開。ユーザー企業様同士の繋がりから、この場所でしか生まれない<企画型広報の創出>を目的に活動していきます。
このコミュニティは、クリッピングサービスの大手・ELNETさんとともに構想から企画・立ち上げまでを行ってまいりました。これから始まるコミュニティなので、ご参加いただく広報さん同士でこのコミュニティを一緒に作り上げていきたい、そんな想いで進めています。
いままでの広報に止まらない新たな広報の創出、学び、それを実行するための繋がり。
まさに、いま求められている「WinWinのアニマルスピリッツ」が集結した場所を提供してまいります。
<広報をアップデートしたい!と思ったら・・・>
広報のためのサードプレイス・コミュニティ「ELspot+」。
広報活動のアップデートを目的に、広報に関連する勉強会や講演会などを開催しています。
「ELspot+」は、講師の話を聴いて学ぶだけの会合ではありません。意見交換や共同企画立案など主体的な活動を重視します。その中で磨かれた発信力や企画力が、日ごろの広報活動の一層のレベルアップにつながるよう、お手伝いさせていただきます。