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「店舗集客に効く広報」の始め方|小さな店舗でも明日から実践できるPR設計術

2025.6.23

最近、SNSや口コミでお店を知るお客様が増える一方で、「広告を出しても反応が薄い」と悩む声が多く聞かれるようになりました。今は“ただ知ってもらう”だけでなく、「共感」や「信頼」を得ることが集客の鍵となる時代。特に、地域密着型の小さな店舗にとっては、無理なく取り組める“広報”の力が、じわじわと注目されています。 本記事では、「広報って難しそう…」と感じている方にもわかりやすく、明日から実践できるPRの基本と設計術を解説します。広告に頼らず、自然とお客様に選ばれるお店づくりの第一歩として、ぜひ参考にしてください。

「広報って何をすればいいの?」という方へ

「広報って、なんとなく難しそう…」「テレビに出ること?SNSを頑張ること?」

そんな風に思われる方は、実はとても多いです。でも、広報の本質はとてもシンプル。それは、あなたのお店やサービスのことを、知ってほしい相手に“ちゃんと伝える”ことなんです。

たとえば、

  • どんな想いでこのお店を始めたのか
  • どんな人に喜んでもらいたいのか
  • 商品やサービスにはどんなこだわりがあるのか

こうしたことを、適切な「言葉」と「手段」で伝えていくことが広報の役割です。

もう少し具体的にいうと、広報とはPublic Relations(パブリック・リレーションズ)=“人との関係づくり” のこと。つまり、お客様、地域の方、SNSでつながっている人たち、マスメディア、従業員・スタッフなど、お店を取り巻く周りの人たちと「どんな関係を築きたいか」を考え、その関係を育てていく活動が広報なのです。

だからこそ、「SNSが苦手」でも大丈夫。「難しい言葉が使えない」でも問題ありません。あなたらしい言葉で、「なぜこのお店をやっているのか」「どんな価値を届けたいのか」を、少しずつ伝えていけば、それが立派な“広報”になります。

広告だけでは足りない理由

「広告を出しているのに、思ったほど反応がない…」
「SNS広告やチラシに費用をかけても、すぐにお客様が増えるわけじゃない」

そんな風に感じたことはありませんか?実は、こうしたご相談をいただく機会が、私たち広報の現場ではとても増えています。

広告は“伝える手段”のひとつ。でも、それだけでは不十分。

広告というのは、あくまで「自分たちから発信する情報」です。つまり、「私たちはこういう商品を売ってますよ」「こんなお店ですよ」と、一方的に伝える“お知らせ”です。

もちろん、広告には即効性や拡散力がありますし、認知拡大のきっかけにもなります。ですが、広告だけに頼ってしまうと、どうしても「お金をかけ続けなければ届かない情報」になりがちです。

では、なぜ広告だけでは限界があるのでしょうか?

理由1:お客様は“売り込み”に敏感になっている

今の時代、お客様は日々たくさんの情報にさらされています。SNSのタイムライン、スマートフォンに届く通知、YouTubeの広告…。1日に触れる情報の数は、なんと約3,000件以上とも言われているんです。

その中で、明らかに「宣伝っぽい」情報は、スルーされてしまう傾向があります。特に若い世代や情報感度の高い方ほど、「これは広告だから…」と、冷静に見てしまうもの。つまり、お金をかけて発信しても、信頼や共感を得られなければ、心には届かないのです。

理由2:“知られる”だけでは、お客様は動かない

たとえ広告で名前を知ってもらえたとしても、それだけで来店や購入につながるとは限りません。人が行動を起こすときには、以下のような「感情のスイッチ」が必要です。

  • なんとなく気になる
  • 好きかも、と思える
  • 他の人が良いと言っている
  • 共感できるストーリーがある

こうした感情が動いてはじめて、「行ってみよう」「買ってみよう」となるのです。広告はその“入口”を作ることはできますが、感情を育てるには力不足な面もあります。

理由3:広報は“信頼”と“関係性”をつくる

ここで登場するのが、広報という存在です。広報は、広告のように「情報を一方的に伝える」のではなく、“伝えたい人に寄り添いながら、関係性をつくっていく”活動です。

たとえば:

  • 地元メディアに掲載される
  • お客様の声を紹介する投稿を発信する
  • 店主の想いや苦労をブログで綴る
  • スタッフの笑顔を写真付きで紹介する

こうした広報活動を通して、「このお店ってなんだかいいな」「応援したいな」と、“共感”や“信頼”を得ていくことができるのです。しかも、これは一度伝われば、時間が経っても記憶に残る“資産”になります。

理由4:広告費の削減にもつながる「効く広報」

そして、忘れてはならないのが、コストパフォーマンスです。広告は、出し続けなければ効果が止まってしまいます。一方、広報は、「メディアに掲載される」「SNSで拡散される」「口コミが自然に広がる」といった“お金をかけずに広がる”仕組みをつくることができるのです。

  • 広報活動をはじめたことで広告費が1/3に削減できた
  • SNSフォロワー数が自然に増えた
  • 地元テレビに紹介され、予約がいっぱいになった

など、数々の“費用対効果”の高い成功例が生まれています。

理由5:広報と広告の“いいとこ取り”が最強

ここで大切なのは、「広報と広告、どちらかを選ぶ」のではなく、両方をバランスよく活用することです。広告は「短期的な集客や認知拡大」に強く、広報は「中長期的な信頼構築と共感形成」に強い。

この両輪をうまく組み合わせることで、

  • 一度の広告で終わらず、継続的に選ばれ続ける
  • 「あのCMで見たお店が、メディアにも出てた!」と信頼性が高まる
  • SNSのフォロワーがファンとなり、自然と応援してくれる

といった、相乗効果を生み出すことができるのです。

「広告だけでは伝えきれないことを、広報で伝える」

それが、今、ますます求められている広報の役割です。「広告を出しても効果がない」そんな時こそ、“伝え方”を見直して、“関係性”を育てる広報”に一歩踏み出してみてください。

集客につながる広報の3ステップ設計術

広告に頼らず、「自然とお客様に選ばれるお店になる」。そんな理想的な状態を目指すには、広報の設計図を持つことがカギになります。

「広報って、なんとなくSNSで発信すればいいんでしょ?」「プレスリリースを出すだけじゃダメなの?」

そんな疑問にお答えすべく、“成果につながる広報の3ステップ設計術”をご紹介します。

ステップ1:自分たちの“届けたい価値”を明確にする

まず一番大切なのは、「何を、誰に、どう伝えるのか?」を整理することです。これが曖昧なままでは、いくら発信を頑張っても、相手の心には届きません。

具体的には、次の3つを明確にすることがポイントです。

【1】誰に届けたいのか(ターゲット設定)

  • 「子育て中のママ」なのか
  • 「仕事帰りに立ち寄るサラリーマン」なのか
  • 「地元を愛するシニア層」なのか

どんな人に来てほしいのかによって、言葉も媒体も変わります。

【2】何を伝えたいのか(強み・魅力)

  • 食材へのこだわり
  • スタッフの人柄
  • 地域への想い
  • 他にはない唯一無二の体験

「自分たちでは当たり前」と思っていることが、お客様にとっては価値そのものになることもあります。第三者の視点を取り入れて、“自分たちらしさ”を言語化しましょう。

【3】なぜそれが必要なのか(提供価値)

  • お客様の暮らしにどう役立つのか
  • どんな気持ちになってほしいのか
  • 社会や地域にどんな影響を与えたいのか

ここまで整理できると、発信に“軸”が生まれます。このステップは、広報活動の「土台」です。焦らず、じっくり時間をかけて言葉にしてみましょう。

ステップ2:“最適な届け方”を設計する

発信する内容が決まったら、次は「どんな手段で、誰に届けるか」を考えます。ここでのポイントは、「お客様の目線で設計すること」です。

【1】どこに情報を置けば届くのか?

  • SNS(Instagram、X、Facebookなど)
  • Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)
  • 地元のフリーペーパーやWebメディア
  • 店頭POPやショップカード
  • LINE公式アカウント
  • プレスリリース配信

お客様が「よく使っている場所」「信頼している媒体」に情報を出すことで、“出会える確率”が一気に高まります

【2】どんな形式で伝えたら伝わるか?

  • 写真で魅力を伝える?
  • ストーリーで共感を呼ぶ?
  • お客様の声で信頼感を出す?
  • スタッフの人柄を紹介する?

たとえば、Instagramでは「ビジュアル重視」、プレスリリースでは「客観的・事実ベース」、ブログやnoteでは「想いや裏話」など、媒体ごとの“伝え方の最適化”がカギです。

ステップ3:伝えたあとに“関係性”を育てる

広報の目的は「知ってもらうこと」では終わりません。大切なのは、“知ってもらったあとにどう関係性を築くか”です。このステップを意識して取り組むことで、「一度きりのお客様」ではなく「何度も来てくれるファン」になってもらえる確率がグッと高まります。

【1】反応に耳を傾ける

  • SNSのコメントやDMに丁寧に返信する
  • 来店時に「○○を見て来ました」と言われたら必ずお礼を伝える
  • ネガティブな声にも誠実に対応する

こうした一つひとつが、「あ、このお店はちゃんと見てくれてるんだな」と伝わります。

【2】関係性を深める発信を続ける

  • スタッフの成長記録
  • 新メニュー誕生秘話
  • お客様からのエピソード紹介
  • 地元イベントへの参加報告

こういった情報を継続的に発信することで、「このお店、応援したくなる!」という気持ちが自然と育まれていきます。

【3】オフラインの体験につなげる

たとえば…

  • 来店時にSNSのフォロー画面を見せると特典がもらえる
  • お客様の声を店内に掲示する
  • 地元メディアに掲載された記事を掲示する

こうした工夫で、オンラインとオフラインの体験をつなぎ、記憶に残る“体験型の広報”が完成します。

「広報の設計」は、迷いをなくし、行動につなげる地図になる

広報は、感覚やノリでやるものではありません。“設計図”を持つことで、迷わず、着実に、集客につなげることができるようになります。

この3ステップ(届けたい価値を明確に → 最適な届け方を選ぶ → 関係性を育てる)は、私たちが20年にわたり、個人店から中小企業までさまざまな現場で結果を出してきた中で、何度も検証されてきた“再現性の高い方法”です。

「なんとなく広報してるけど、うまくいってるか分からない」「発信してるのに、反応が少ない」そんな方は、ぜひ一度、この3ステップに立ち戻ってみてください。きっと、次の一歩が見えてくるはずです。

見せ方と続け方が成功のカギ

店舗広報でよくある失敗が「始めたけれど続かない」というケースです。

  • Instagramを開設したけど数回投稿して放置
  • プレスリリースを出してみたけど反応がない
  • TikTokに挑戦したがネタ切れで更新ストップ

これらはすべて、手段が先行し、設計がないまま走り出した状態です。広報の成功には、「継続的に接点をつくる仕組みづくり」が不可欠です。一度投稿して反応がなくても、繰り返し発信することで信頼は少しずつ積み上がっていきます。

“いま”広報で意識すべき2つの視点

①「なぜ、誰がやっているのか」に注目される時代

今の消費者は、「何を売っているか」よりも、

  • なぜこのお店を始めたのか
  • 誰がどんな思いで運営しているのか
  • どんな想いが商品に込められているのか

という背景やストーリーに共感して、応援するかどうかを決めているのです。ですので、「What」ではなく、「Why」や「Who」に軸を置いた発信が必要です。

たとえば、

  • 店主が修行時代に悩んだ話
  • 地元で育ったからこそ大事にしたい食材
  • 子育てと両立しながら挑戦している姿

など、あなたの「人となり」や「想い」が、もっとも強い武器になるのです。

②「ペイド・アーンド・シェアード・オウンド」を組み合わせよう

今の情報発信は「届き方」が非常に多様化しています。

ここで活用したいのが「PESOモデル」です。

分類説明
ペイド有料広告(チラシ、リスティング、SNS広告など)
アーンドメディア掲載、第三者からの口コミ
シェアードSNSのシェア、リポストなど共感による拡散
オウンド自社サイト、ブログ、メールマガジンなど自分で管理できる媒体

たとえば:

  1. ブログ記事で自店のこだわりを丁寧に伝える(オウンド)
  2. SNSでその内容を簡潔に発信し、拡散を狙う(シェアード)
  3. メディアに持ち込んで紹介してもらう(アーンド)
  4. リーチを広げるために広告も併用(ペイド)

というように、複数の媒体を組み合わせることで、それぞれの効果が補完し合い、より強力な集客効果が生まれます。

まとめ:明日から始める「店舗広報の基本設計」

最後に、本日のポイントを整理します。

✅ 1. 広報は「関係性を築く活動」

ただの情報発信ではなく、誰とどうつながりたいかを設計することが本質。

✅ 2. 店舗集客に効く広報3ステップ

  • ターゲットを明確にする
  • 伝える切り口を設計する
  • 手段とタイミングを計画する

✅ 3. 「なぜ・誰が」を伝えることが共感を生む

商品だけではなく、あなた自身やチームの物語を語ることが重要。

✅ 4. PESOモデルを意識した複数手段の活用

SNSだけ、チラシだけ、に偏らず、情報を線でつなぐ発信設計を。広報は一日にして成らず。でも、一歩踏み出すことで見える景色が変わってきます。あなたのお店の魅力が、もっとたくさんの人に届きますように。この記事が、その第一歩となれば嬉しいです。

【集客に効く広報】の成功のカギは戦略設計

広報の重要性や戦略的に取り組む重要性はは分かったけれど、自店のケースにどう当てはめたらいいか分からない、何から手をつけたらよいか迷っている。この記事を読んでそのように感じていただけた場合、ぜひ一度プラスカラーへご相談ください。店舗ビジネスの広報に携わってきたベテラン広報が、あなたのお悩みに寄り添います。