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【株式会社QDレーザ】を勝手に企業リサーチ★byプラスカラー

2021.7.12

メガネ以来の視覚革命!目に直接映像を投影する技術を開発している株式会社QDレーザさん。ロービジョンの方々に光を与えつつユニークな特許取得方法で着実に技術力で成長していく。

リサーチ企業概要

株式会社QDレーザ
・設立:2006年 4月
・代表者:代表取締役社長 菅原 充(すがわら みつる)
・社員数:50人
・所在地:神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号京浜ビル1階
・代表的なサービス:通信・産業用高効率半導体レーザおよび視覚情報
          デバイスを開発製造
・株式上場:東京証券取引所マザーズ市場上場(証券コード:6613)
      *2021年2月5日上場
      (株)QDレーザ【6613】:詳細情報 – Yahoo!ファイナンス

経営者・創業者

<創業者/代表取締役社長> 菅原 充
1984年生まれ、新潟県出身。東京大学大学院物理工学修士課程修了後、株式会社富士通研究所へ入社。95年に富士通研究所光半導体研究部主任研究員、東京大学工学博士となる。2001年、富士通研究所フォトノベルテクノロジ研究部長、2005年から富士通研究所ナノテクノロジー研究センターセンター長代理を務めたのち、06年にQDレーザを起業。

■取締役 幸野谷 信次(このや しんじ)
富士通株式会社に入社、海外子会社管理業務を経て2000年に経営戦略室に配属され富士通CVCを任される。多くのベンチャー出資、提携、M&A案件を進める中、04年に菅原と出会い当社創業を担当。北海道大学法学部卒、(社)日本証券アナリスト協会検定会員。

■取締役(社外) 吉田 勉(よしだ つとむ)
三井物産株式会社にて企業投資部長、同社CVC代表取締役社長等歴任。過去30年に亘り、グローバル企業への投資、M&A、企業再生、ベンチャー企業への投資を通じ、経営管理・指導育成を実践。株式会社三菱ケミカルホールディングス執行役員M&A室長(現任)。東京大学経済学部卒、米国ペンシルバニア大学ウォートン校経営学修士。

■顧問(東京大学特任教授) 荒川 泰彦(あらかわ やすひこ)
1952年生まれ、愛知県出身。1975年東京大学工学部電子工学科を卒業し、80年同大学院電気博士課程修了後、生産技術研究所専任講師、1981年同研究所助教授、1984年カリフォルニア工科大学客員研究員、1987年東京工業大学精密工学研究所(兼任)、1988年東京大学先端科学技術研究センター助教授、1992年生産技術研究所助教授、1993年同研究所教授、1998年先端科学技術研究センター教授、2002年生産技術研究所ナノエレクトロニクス連携研究センター長、2007年ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長、2009年生産技術研究所教授、光電子融合研究センター長などを歴任してきた。2011年から3年間は、ミュンヘン工科大学の客員教授も務めている。

ミッション・ビジョン・バリュー

ミッション:レーザの力で、「できない」を「できる」に変える。

組織体制

レーザデバイス事業とレーザアイウェア事業の2事業で運営し、平均年齢は50.33歳。

市場・マーケット

レーザ照明世界市場規模(メーカー出荷ベース)
2020年度:5,534億円(予測)
今後、半導体レーザの特長を生かした開発が進み、車載用ヘッドライトや家庭用・業務用照明器具などの機器において、本格的な採用が進展し、市場規模は急成長(2020年5534億円から2027年1兆1,104億円)していく見込みだ。
矢野経済研究所調べ

会社・サービスの特徴

量子ドットレーザ技術の事業化を目指す先駆者として、2006年に(株)富士通研究所のスピンオフベンチャーとしてスタート。世界で初めて光通信用量子ドットレーザ(Quantum Dot LASER)の開発と量産に成功するとともに、精密加工用ピコ短パルスDFBレーザ、生命科学用の電流注入型緑・黄緑・橙色レーザ、シリコン光回路用の量子ドットレーザアレイ、眼科検査機器用の広帯域利得チップ、そして、網膜走査型レーザアイウェアなど、通信・産業・医療・民生用の広い分野で新しい半導体レーザソリューションを提供し、独創的な製品を次々に生み出す。
HPより

ビジネスモデル

自社では製品の企画・設計や指示書やデータの提供に経営資源を集約し、他社の工場に製造を委託し、製品を販売する「ファブレス製造」のビジネスモデルで展開。部品製造にとどまらず、最終製品であるレーザアイウェアを医療機器にも展開している。

代表的な競合

レーザ技術を持つ企業は国内・海外にはなく、 光通信用量子ドットレーザーを量産できるのは同社のみ。
 IP BASE

競合優位性

・材料を生み、設計し、制御する世界トップ・唯一領域を多数保有する半導体レーザ技術

同社のコア技術は
① 量子ドットレーザ:世界で唯一量産化に成功し,耐環境性能に優れた(100℃以上での特性劣化も少なく200℃でもレーザ発振可能)光通信・シリコンフォトニクス用半導体レーザ
② 分子線結晶成⾧:最先端エピタキシー技術
③ レーザ設計:高機能半導体レーザを実現するレーザ設計技術
④ グレーティング形成:半導体レーザの波⾧を自在に精密に制御する技術
⑤ モジュール小型化:モジュールの小型化,高信頼化を実現する設計,実装技術
⑥ 「VISIRIUM@テクノロジー」:網膜にデジタル画像を直接投影する新技術
QD Laser | Core Technology(コアテクノロジー)

最近の主なニュース

■2021年1月 網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® メディカル」発売
■2020年12月 新規上場承認に関するお知らせ
■2020年12月「With My Eyes」プロジェクト始動【プロジェクト第1弾】 

出資・株主

<主要株主>
東京センチュリー、富士通系ベンチャーキャピタル「グローバル・イノベーション・ファンド」、MGI Global Fund、アクサ生命保険、Beyond Next Ventures、第一生命保険、リアルテックファンド(ユーグレナ)、DGベンチャーズ

<資金調達>
2019年4月 東京センチュリーなど事業会社やベンチャーキャピタル20社を引受先とする第三者割当増資により総額36.6億円の資金調達を実施。
ニュースリリースより
この資金調達により、国内 150 万人、 経済損失 8 兆円(*注釈2)、世界約 2.5 億人のロービジョン者に光を届ける事業を加速。

勝手にキャッチコピー

最先端レーザで「できる」「見える」を実現

実用化不可能と言われた光通信用量子ドットレーザの開発と量産に世界で初めて可能にし、世界で2.5億人、国内でも150万人いるメガネやコンタクトレンズでは視力矯正が困難な「ロービジョン(社会的弱視)」と呼ばれる人たちへの”見える”をサポートしている。

勝手にペルソナ

新潟県在住・31歳・マッサージ師・JAZZを聞くこと

ある事故をきっかけに、視力が低下しロービジョンとなった。手先が器用だったことがきっかけで始めたマッサージの仕事はありがたいことに支障なくできているけど、今まで見えていたものが見えなくなってしまい日常生活に困ることが増えた。でもレーザという技術で、見えづらかった視界が見えることができるメガネができたようだ。

株式会社QDレーザを勝手に広報!

株式会社QDレーザを、広報のプロであるプラスカラーの経営陣が勝手に広報しました!紹介動画は「勝手に広報チャンネル」からご覧ください。

富士通株式会社と三井物産株式会社のベンチャーキャピタル資金を活用して生まれた企業。

勝手に広報ポイント①
大企業が断念した半導体レーザ技術を事業化させた研究者出身の創業者

1995年から富士通研究所で量子ドットレーザの研究に携わっていたが代表の菅原氏が、2001年のITバブルの崩壊で富士通研究所内の半導体や光通信の部門が売却されたことから、研究を存続させ、半導体レーザの技術を事業化するためにスピンオフベンチャー企業として同社を創立。東京大学の教授であり、量子ドットレーザを黎明期から研究していた荒川氏の協力により実現した。半導体レーザとは、光通信を使うデバイスで、光ファイバーの一端から光を入れることでデータを伝えることができる技術。長距離を飛ばしても伝送の強度は半分にしか落ちないことから遠距離通信が可能となる。この技術で通信網が発達し、今のインターネットやスマホが成り立っている。その半導体レーザの一種が量子ドットレーザで従来の半導体レーザを凌駕する特性を持つとして注目されているが、同社は世界で初めて光通信用量子ドットレーザの開発と量産に成功している。半導体の結晶をつくる技術を活かし、通信用だけでなくセラミックスなど素材加工用やバイオ・医療用など、事業の方向性を大きく変えて多角化に舵を切ったことで成長続けている。もともと同社は工場を持たない「ファブレス」企業で、半導体の結晶を成長させる作業は自社で手掛け、実際の機器生産は外部メーカーに委託する方法を取っていた。固定費が一定に抑えられた結果、多品種を開発、生産しても利益を出せるというビジネスモデルが的中したことも成功の要因の一つだ。
インタビュー記事日経産業新聞

勝手に広報ポイント②
眼鏡以来の視覚革命!「できない」を「できる」に変える技術力

半導体技術を利用した高度な情報処理を行う「レーザデバイス事業」と視力改善を目的としたメガネ型ディスプレイ開発・製造を行う「レーザアイウェア事業」の2つの事業で展開している。レーザデバイス事業は、会社全体の売上の大半を占めるQDレーダのベースとなる事業で、半導体レーザ技術を用いた通信、レーザ加工、センシング分野の事業を国内外に展開する。一方「レーザアイウェア事業」は、メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接画像を投影することでカメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せることができる網膜走査型レーザアイウェアを開発し、医療・福祉、民生用へと市場を拡げている。2019年には第三者割当増資により総額36.6億円の資金調達を実施し、その資金により国内 150 万人、 経済損失 8 兆円、世界約 2.5 億人のロービジョンと呼ばれる全盲ではない視覚障害をもつ人に光を届ける事業を加速させている。眼鏡を使わなくとも0.8の視力が得られる「RETISSA DisplayⅡ(レティッサ・ディスプレー2)」は「2020年日経優秀製品・サービス賞」で最優秀賞を獲得、視覚障碍者向け医療用ヘッドマウントディスプレイ「レティッサ・メディカル」は日本において新医療機器として承認を取得するなど、欧米でも医療機器許認可の取得を進め、13世紀に眼鏡が発明された以来の、目に関する新たなテクノロジーと言える。こうした画期的な技術により通信機器やセンサー用の部品等の事業化に成功し、視力の弱い人向けの眼鏡型端末でも注目を浴びるなど、多角化の経営で成功に導いている。医療認証も正式に取得し、今後検眼の効率化などヘルスケア分野においても技術を応用し、さらなる活用が見込まれている。まさにミッション通り、半導体レーザの力で、大手企業でできなかったことを「できる」に変えたのだ。
目論見書成長可能性に関する説明資料

勝手に広報ポイント③
展開する事業に合わせ緻密に計算された特許戦略

知財に関しては、「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件」の著者である東京大学政策ビジョン研究センターの小川氏のアドバイスもあり、半導体レーザに関するあらゆる製造のノウハウは完全に秘匿するクローズド戦略をとる一方、アイウェアに関する特許は徹底して取得するというオープン戦略をとっている。半導体レーザ技術は特殊であるために、製品を分解しても他社にノウハウがもれることはないが、特許を取得することで技術がオープンになる恐れがあるために完全にクローズしている。一方で、アイウェアに関しては他社が真似できないように、コア技術とその関連技術の出願権利化を進める「ニッチトップ戦略」を採用。2020年3月9日までに出願済のものが38件で、そのうち登録特許は15件。ちなみに日本国内の他社での関連特許は約3,500件で、製品発売において障害となる特許は見つかっていない。
日本経済新聞 (nikkei.com)NEDOより

勝手に広報チャンネルとは

株式会社プラスカラーが企画するYouTubeの動画コンテンツ。
元広報・現役経営者である2人(代表取締役佐久間・取締役斉藤)が最近気になる会社を約30分でリサーチし、約10分で勝手に広報するというチャンネルです。立ち上げの経緯や企画趣旨の詳細はこちらの記事をご覧ください。