COLUMN
ブランディング作りの成功と失敗の分かれ道とは?【ベテラン広報に聞いてみた!】
2023.10.4
ブランディングとは、企業やブランドをターゲットに対して高く認知してもらうための戦略です。分かりやすく説明すると、お客様に「○○が欲しい」「○○をしたい」=じゃあ、このお店に行こう!とすぐに自社の商品を思い出してくれるようイメージを創り上げることです。 しかし、ブランディング戦略は、自社製品をアピールするだけではいけません。今回は、成功事例と失敗事例を見ながら、日本企業のブランディングづくりの歴史の背景、そして、失敗しないブランディング作りの方法をお伝えします。
目次
ブランディング作りの成功事例と失敗事例
ここでは、ブランディング作りの成功事例と失敗事例を順に見ていきましょう。
【ブランディング作りの成功事例】
①スターバックスコーヒー
スターバックスでは、コーヒー1杯600円前後という価格帯でありながら、根強いファンが多数存在します。その理由は、足を運んだお客様に対して居心地の良い空間を提供することをコンセプトに展開しているため。細かいオーダーにも対応し、季節限定メニューが味わえる。そして、店員さんのサービスでオリジナルのコメントをカップにもらえるなど、そのお客様一人ひとりに特別感を与えるようなブランディングを施しています。
②マツダ
マツダは、国内販売シェア第4位の大手自動車メーカー。以前はマツダの販売シェアを伸ばすために販売価格を大幅値下げしてしまったことで、ブランド価値を低下させてしまったそう。その失敗を活かし、他のブランドにはない価値や思想、キャラクター戦略を打ち出し、他社との差別化を図ることに成功しました。
【ブランディング作りの失敗事例】
①ソニー「QUALIA」の事例
ソニーは、ウォークマンなどで有名な日本の総合電機メーカーですが、ブランディング作りに失敗した事例があります。それは、AV機器の高級ブランドQUALIA(クオリア)の事例で、消費者が求める価値ではなく、作り手目線でブランド化が進んでしまったことが失敗の要因とされています。
②ドルチェ&ガッパーナ「2018年のCM炎上」の事例
日本でも人気のドルチェ&ガッパーナのブランドですが、2018年に放映したCMが中国で炎上し、不買運動に発展。結果的にドルチェ&ガッパーナは中国から撤退する事態になってしまいました。原因は、CM内で中国人女性がピザやパスタを箸で食べるという食事シーンが放送されたため。海外で事業を展開する場合では、その国の文化を知った上でのブランディング作りが重要というのが分かる事例の一つとなりました。
実は、日本は企業ブランディングは得意ではない!?
日本は、企業ブランディングが世界に比べてあまり得意ではないと言われています。
「世界ブランド価値ランキング」の記事を見てみると、トップ100以内にランクインしている企業は数えるほどしかありません。この結果から、日本で有名な企業でも世界的には知られていない会社が多数ある…ということが分かります。
なぜ日本の企業はブランディング作りがあまり得意ではないと言われているのでしょうか?その理由は、かつての日本はモノづくりによって経済成長を発展させてきたため。高度経済成長時代では、モノをつくり、品質や技術を高めることでモノが売れていました。そのため、ブランディングを行わなくても良かった(必要がなかった)といえます。
しかし時代は移り変わり、高品質・高性能な商品やサービスが、低単価で買い求められるようになった今、良い商品やサービスであっても売れなくなってしまいました。高品質・高性能が当たり前になっってしまったため、人々は「モノの価値」から「コト消費」そして「ヒト消費」(誰から買うか?)に変化していったのです。
だからこそ、他社との違いを打ち出すために、企業ブランディングは必要不可欠となります。
失敗しないブランディング作りの方法
ここでは、失敗しないブランディング作りの方法を見ていきましょう。主に3つのポイントがあります。
①消費者目線から自社の強みを分析する
消費者が求めているものを分析し、開発していくことが重要です。作り手目線でアピールしてしまうと、消費者が求めているものからずれてしまう恐れがあります。
②ブランドコンセプトを明確にする
戦略会議の段階で、コンセプトをはっきりしていないということは、ターゲットが決まらないまま商品を作ってしまうという状況です。誰にでも当てはまるというのは、一見幅広い層に受け入れてもらいやすそうと思われがちですが、消費者にとっては心に響く商品にならず、印象が薄くなる結果になってしまいます。
③企業規模によってブランディング手法を変える
ターゲットが決まったら、どのような手法を使ったらその商品やサービスがターゲットに届くのかリサーチし、発信していくようにしましょう。同じ内容のサービスや商品をアピールするとしても、ターゲットが違えば、発信内容や発信方法は異なります。
【広報がブランディング作りで成功するためには?】
上記をふまえた上で、広報としてブランディング作りを成功させるために行うべきことを見ていきましょう。
①ターゲットにどのようなメッセージを伝えるのか?
②どの発信チャンネルを利用するか?
③社内の協力体制は?
まずは、ターゲットに響くメッセージづくりです。どのようなメッセージが共感を生むのか、ブランドに対してどのようなイメージを持ってもらいたいのかなど、メッセージ案をいくつか出し比較していくと良いでしょう。
メッセージが決まったら、そのターゲットがよく利用している媒体を調査し、メッセージを流していきましょう。メルマガやプレスリリース、SNSやYoutubeなど、ターゲット層によっては全く媒体が異なるので注意が必要です。
そして、ブランディングづくりには協力する社内体制を整えておくことが重要です。おすすめは社員全員が広報を行うこと。これにより、広報に対するアンテナを社内全体が張っている状況になるので、広報ネタをキャッチしやすくなっていきます。「全社員広報体制」については会社のステージを上げるなら広報!広報をやるなら「全社員広報体制」の記事で詳しく紹介しています。
まとめ:顧客が自社に何を求めているか「消費者目線で」把握する
今回は、ブランディングの成功事例、失敗事例を取り上げ、日本がなぜ企業ブランディングが苦手なのか、その背景に迫りました。
企業ブランディングに失敗しないコツは、消費者が自社に何を求めているのかしっかり調査したうえで強みを強化していくことです。作り手側が、ここをアピールしたいからと言って消費者が求めていない部分に力を入れても、なかなか効果は見えにくい結果となってしまうでしょう。
ブランディングの方向性が決まったら、適切な媒体を利用して発信することで、消費者の口コミから評判が広がってきます。この発信のスパイラルを生み出すためにも、社内全体でブランディング体制を整えた上で、積極的な発信をしていきましょう。
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