COLUMN
もはや哲学!?知らないことを知ってもらうためのカギは、相手の「知っている」に合わせること
2023.12.5
この広報コラムでは、プラスカラー取締役の斉藤が日々インプットした情報をご紹介するとともに、広報に難しさを感じている企業の経営者様や広報ご責任者様、現場で広報活動と対峙しながら次の一手を模索している広報ご担当者様に向けて、今までの広報経験をもとにした知識・ノウハウを共有していきます。 コラムをきっかけに気づきを得て、自考・自走していくための一助となれたら幸いです。
目次
自分の考えや解釈を人に理解してもらうことって、難しい。
実は、自分の考えや解釈を人に伝えるのがあまり得意ではありません!(それでも広報をやっている私はきっと広報の希望の星になれるでしょう!)。
論理的に話したり、物事を道筋立てて整理するのが本当に苦手です。そのため、広報のプロフェッショナルであるのにも関わらず、話のストーリーを作るのにひどく時間がかかります。
論理的思考を鍛える方法的な本も数冊読んだし、なかなか上達しないですが、私はこの”広報”という「伝える仕事」が好きだし、世の中にとってとても重要な役割だと思っているので、諦めずに訓練中です。
また、論理的に話すことと同じくらい大事なのが、相手の立場になって考えること。
相手と同じ視点に立って考えることもまた、自分視点の強い私の苦手分野・・・。特にはじめましての人と話す際は「客観的に、俯瞰的に物事を見る」「自分の考え、思い込みで話さない」と自己認識させてから話すよう、最近では心がけています。
このような心がけをしていく中で、もう1つ大切だな、と思うのが「相手の理解できる言葉で話すこと」です。専門用語、業界用語だらけの会話が繰り広げられると、「それってどういうこと?」「○○って、なに?」と話の本筋ではないところが気になって、会話の中身に集中できないですよね。相手に自分の伝えたいことを話す際には、よりわかりやすく、イメージしてもらいやすいよう、一般的な表現や例え話を用いるよう工夫するようにしています。このように、誰かに何かを伝えるときは、相手がその伝えたいことを全く知らないという前提で話すことも意識しています。
この話の流れで、今回ご紹介したいインプット&アウトプットテーマは「知らないことを知ってもらうための方法」についてです。
今回視聴した動画は、「チームラボはなぜ世界で大人気なのか」をテーマにした、チームラボ代表・猪子寿之へのインタビュー企画。
余談ですが、若かりし頃、チームラボの新進気鋭さに憧れて、どうにかして入社できないものかと転職を本気で考えた時期がありました。色々調べた結果、「私には難しそうだ」と諦めてしまった苦い思い出がありますが、今でもチームラボのクリエイティブを見るとワクワクし、エンターテインメント集団だなぁ!と感動させていただいています。
横道に逸れたので、話を戻して。
普段から私たちは、「知らないことを知ってもらうための手段=広報」であるとセミナーや商談の場でお伝えさせていただいていますが、このようにお伝えさせていただいている本質を、この動画では説明しているような気がしました。
猪子さんの発言はクリエイティブに飛んでいたので、ご本人が伝えたいことと異なるかもしれませんが、今回の動画を通して私なりに解釈したことをアウトプットしたいと思います。
今日のインプット
PIVOT 公式チャンネル9 questions|チームラボ代表 猪子寿之 前編
【チームラボはなぜ世界で大人気なのか:猪子寿之】
インプットした内容
<ゲスト>
猪子寿之|チームラボ代表
1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。大学では確率・統計モデルを、大学院では自然言語処理とアートを研究。チームラボは、プログラマ・エンジニア、数学者、建築家、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、絵師、編集者など、情報化社会のさまざまなものづくりのスペシャリストから構成されている。
<テーマ>鎖国と世界
1. 認知
人は見ている世界を認知していると思っているが、本当は認知した世界だけを見ている。
①認知上存在すればそれは存在する。
②実際存在しても認知上存在しなければ存在しない。
認知上存在したら、そこから見えるものが増えていく。
人間は認知している世界しか見ていないから、認知している世界が増えれば見えている世界は増えるし、行動も変わる。
論理的に話を詰めるのは無駄。認知している世界が違うから。認知している世界が広がることが人間にとっては重要。
2. 見えている世界の変化
アートの役割。写真のように見えているつもりの世界はルネッサンス以降のこと。
ピンホールカメラの発明が写真のような絵画を生み出した。現像ができないので、ピンホールカメラで壁に写し出した風景をトレースして描いたのが写実的絵画の始まりなのでは?
これにより、認知の世界が増えた。そういう風に見えるようになったらトレースしなくても描けるようになるし、論理構造が整理されると誰でも描けるようになるし見えるようになる。物理的な客観把握ができるようになったのでは?それによって、世界を客観的に見ることができるようになった。
レンズで切り取った瞬間、画面は境界。自分は境界の手前。見えている世界に自分はいなくなる。レンズを通すと視点が固定されるから肉体が失われる。認知の仕方によって強制的に肉体が失われ、映画館やテレビは座ってみる必要が出てくる。
テレビは焦点が狭いから、強力な催眠状態になる。スターだからテレビに出るのではなく、レンズの向こうの人がスターになる。レンズは炎やコインを凌駕する強力な催眠性がある。
→認知の仕方が行動を変える
猪子さんは、意思のある身体で境界を生まない空間の切り取り方に興味を持って、空間を切り取って映像を作ることをしている。そのため、チームラボは身体のある状態で、映像の中に自分の身体があるように錯覚しているような作品を提供している。
3. 世界的評価
2023年4月、海外から日本に来た旅行者の10人に1人が豊洲のチームラボプラネットに行っている(4月に沖縄へ行った旅行客の2.5倍!)。境界が生まれず身体がある状態で映像を楽しむ→今まで人類になかった認知の仕方、認知の革命=新しい体験。ニッチだけど共通して届きやすい。
4. アートとは?
人類はある時から絵を描きはじめた。一般的には言語を話しはじめるところから始まった。言語は何か共通項目を切り取って分解して理解する行為。脳の抽象度が上がったことで言語が話せるようになった。言語以外に絵を描き始めたのか?絵を描く=さらに脳の抽象度が上がり、この世界を切り取らないまま理解する行為。アートとは、関係しあっていることを関係しあったまま理解する行為。言語化、論理化し続けると世界を切り刻みすぎてしまう。連続していることそのものが美しい体験を作りたい。
人間は身体で世界を把握している。学生時代、バックパッカーなどでインドやヨーロッパに行った友人が口を揃えて「価値観が変わった!」というがきっとあれは本当。「世界の車窓から」を1ヶ月観て価値観が変わった!という人はいない。身体で理解した時に価値観が変わる。
5. 年齢とクリエイティビティ
◆アーティストにピークはあるか?
意味を見出したものに対して永遠にやっていくわけだが、仮に継続ができるならば成長曲線がどんかしても永遠に積み上がっていくから他人とは差が広がっていく。本人にとって意味があることを積み上げていくから積み上げやすいのでは?認知パターンが増えていくので、衰えることはない。
人は、より意味を求めるようになる。意味があるものに対してより感動する。
意味があるとは??→人は何かに意味を感じて選択をしていく。意味を感じられないと生きていけない?生きている意味を見出したい。意味がわからないけれど、ものすごく積み上がっているものに対して意味を感じてしまう。
5. 鎖国と日本文化
猪子さんはトレンドは追わない。自分にとって意味があると思うことをやっている。テクニカルなものは最新を追い求める場合はあるが、興味を(世の中のトレンドに)合わせに行っているわけではない。
インプット情報からの学び:知らないことを知ってもらうためには「認知する世界の合致」と「実体験」がカギとなる
まさに猪子さんワールドが炸裂した内容でした。
全て書き出し切れていないのと、猪子さんの世界観を感じていただきたいので、興味を持っていただけたら、ぜひ動画本編をご覧いただけたらと思います。
「人間は認知した世界だけを見ている。認知している世界が広がることで見えている世界が増える」
「人間は身体で世界を把握している。身体で理解した時に価値観が変わる。」
この動画の中で触れられていた「認知」と「実体験」の話は、ビジネスの世界でも通じる考えだといえます。
例えば、私たちがご提供する「広報」も認知と実体験がないと、どんなに説明してもその人の認知している世界の中での理解に落ちてしまい、本来の意味が伝わりません。広報の効果、影響をダイレクトに感じる実体験があって、初めて広報に対する説明もより正確に伝わります。
すぐに広報効果を実感できる体験はなかなか難しいので(広報経験のある方なら、広報効果を得るためには蓄積が必要であり、時間を要するものであると理解いただけると思いますが)、広報をご存知ない方には、①その方の認知の中で説明をする、②広報効果を擬似体験していただく、という2つのアプローチを行います。
「①その方の認知の中で説明をする」というのは、例えば営業職の方であれば「広報」という耳馴染みのない言葉ではなく、「ターゲット顧客の集客」「新規顧客の開拓」というふうに、営業の世界で使われている言い方にすげ替えて説明します。
営業職の方の役割は事業を伸ばすこと、売上を作ることです。
広報の目的は大きく3つ、「ヒト(採用目的)、モノ(売上UP目的)、カネ(信頼・信用獲得目的)」とよくお伝えしていますが、この「モノ(売上UP目的)」の広報活動は、つまりは営業職の方のニーズと合致します。
「(認知している世界が違う人と)論理的に話を詰めるのは無駄」と猪子さんも動画内で仰っているように、人は、自分の知らないことや理解できないものに対して、まずは拒否反応を示すもの。拒否反応のあるものには耳を傾けません。
そのため、まずは相手の認知の世界に入り込んで、馴染みのある言葉を使いながら、相手の課題を解決する広報施策をお伝えしながら、最後に「これが広報なんです」と伝えると、相手と自分の認知の世界が同じになり、広報という言葉にも聞く耳を持つようになるでしょう。
そして、「②広報効果を擬似体験」というのは、他社事例を用いて自分たちに置き換えたときにどうなるか、をイメージしていただくことです。
もちろん、商材やかけられる予算、割ける人員など、個社ごとに状況は異なるため、他社事例の効果がそのまま得られるとは限りませんが、同業他社であれば市況環境から来る業界課題やニーズは合致するため、同じような課題があれば他社事例を用いた広報効果の擬似体験も見込めます。従業員規模や組織体制、創業年数、職種など、さまざまな課題パターンが考えられるので、複数の切り口で事例を準備します。
広報とは一般的に、「自社を取り巻くステークホルダーとの良好な関係を築くための双方向のコミュニケション」を意味しますが、私たちは、「まだ世の中に知られていないことを知らせるための手法」「知って欲しい相手に伝えたいことを届ける手法」とお伝えすることが多いです。
それは、「広報とはなんぞや?」という方がまだ多いと感じるから。
広報をよく知らない方々に、広報は自分たちの課題解決策の1つとしてご活用いただき、効果を感じていただきたい。そのために、まずは自分たちにも関係のあること、という認知をしていただきたい、そんな思いの表れです。
<まだ知られていない自社や商品・サービスを伝える武器を作りませんか?>
世の中に類似商品がない。サービスの特徴を伝えてもお客様に刺さらない。実績には定評があるが、あまり知られていない。このようなお悩みがある場合、その商品・サービスを「擬似体験」していただく事例記事を作りませんか?導入事例/お客様の声/開発者インタビューなど実績豊富なメンバーがサポートいたします。
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