広報コラム

広報のトレンド 2025｜時代を先取りする最新動向と対応策を徹底解説

2025.6.9

最近、広報に関するウェビナーを実施させていただく中で、いまの時代の広報のあり方や、広報として取り入れる視点・考え方が変化してきているという話をしています。広報の役割がますます多様化・高度化する中で、担当者は「時代の変化」に迅速に対応しながらも、自社らしさを発揮する情報発信が求められています。特に2025年は、生成AIの進化、Z世代・α世代の台頭、サステナビリティ志向の強化といった社会的変化が加速し、広報活動の在り方にも大きな影響を与える年になると言っても過言ではありません。

この記事では、2025年の広報における最新トレンドとその背景、具体的な対応策を体系的にまとめました。現場で忙しく奮闘する広報担当者の皆さんが、今後の広報戦略を組み立てる上での「視点」や「実践のヒント」をお届けします。

※広報ウェビナーの詳細は下記をご参照ください
　https://pluscolor.co.jp/news/news/

はじめに：なぜ「広報のトレンド2025」が重要なのか

広報は単なる情報発信にとどまらず、企業と社会、メディア、消費者をつなぐ重要な役割を担っています。従来のプレスリリース中心の手法に加えて、近年はSNSやインフルエンサーマーケティング、データ活用型のコミュニケーションが主流になりつつあります。

2025年は、生成AIの一般化、サステナビリティ志向の高まり、Z世代・α世代の台頭といった社会的・技術的変化が加速する年。広報担当者にとって、これらの動向を的確に把握し、戦略に反映させることが今後の広報活動の成否を分ける鍵となるでしょう。

広報のトレンド2025｜注目すべき8つのキーワード

ここでは、2025年の広報において特に注目される8つのキーワードを解説します。

2-1. ジェネレーティブAI（生成AI）の本格活用

ChatGPTなどの生成AIは、広報分野でも大きな役割を果たしつつあります。2025年には、以下のような活用方法が一般化する見込みです。

• プレスリリースのたたき台作成
  
• SNS投稿の自動生成
  
• メディアアプローチ文のパーソナライズ
  
• 過去の広報実績データの分析と要約
  

ただし、AIの出力をそのまま使用するのではなく、企業のトーンや信頼性を保つために、最終的な人間による編集が不可欠です。AIはあくまで「広報活動の支援ツール」として位置づけましょう。

2-2. パーソナライズドPRの進化

2025年は、画一的な情報提供ではなく、ターゲットごとの関心やニーズに寄り添った「パーソナライズドPR」が重要になります。メディアごとの嗜好や記者の関心分野に合わせて情報提供の仕方を変える「メディアリレーションの深化」や、個人レベルでのSNSインフルエンサーとの関係構築が必要です。

具体的には、以下のような手法が注目されています。

• 記者ごとの過去記事分析に基づくピッチメール作成
  
• 顧客セグメントごとのストーリーテリング展開
  
• 特定業界向けの専門情報発信（BtoB広報の深化）
  

2-3. サステナビリティと社会課題への対応

ESG（環境・社会・ガバナンス）への取り組みは、今や企業ブランディングの中心的要素です。2025年の広報は、単なる「実績報告」ではなく、「ストーリーとして伝える力」が問われます。

たとえば、再生可能エネルギーの導入、働き方改革、多様性の推進などの取り組みを、以下のような形で発信することが求められます。

• 社員のリアルな声を交えたストーリー化
  
• データと感情のバランスをとった報告記事
  
• ビジュアルや動画を活用したSNS発信
  

SDGs文脈でのメッセージが「共感」や「信頼」につながるため、表面的な取り組みではなく、内実の伴った広報が必要です。

2-4. Z世代・α世代を意識したコミュニケーション設計

Z世代（1990年代後半～2010年生まれ）やα世代（2010年以降生まれ）は、従来のマスメディアに接する時間が少なく、SNSを主な情報源とする傾向があります。この世代をターゲットにした広報では、「企業らしさ」を抑えた親しみやすい発信や、双方向コミュニケーションを意識した設計が有効です。

例：

• TikTokやInstagram Reelsを使ったショート動画コンテンツ
  
• 社員が登場するリアルな裏側発信
  
• コラボ企画・キャンペーンによるエンゲージメント強化
  

2-5. オウンドメディアの戦略的活用

広報の主戦場が「受け身のメディア露出」から「自社発信」へとシフトする中、オウンドメディアの重要性が増しています。特に2025年は以下のような観点が重視されます。

• SEOを意識したコンテンツ設計
  
• 企業の専門性・思想を反映した記事づくり
  
• 継続的な情報更新による検索エンジン評価の獲得
  

PR目的のブログだけでなく、採用広報、サステナビリティ、技術情報などのジャンルに分けて展開することで、多面的なブランド構築が可能となります。

2-6. データドリブンPRの定着

2025年は、広報活動においても「数値」に基づく評価・改善が求められます。広報効果を可視化するために、以下のような指標が活用されています。

• メディア露出数・掲載面積・広告換算値
  
• SNSエンゲージメント（いいね、シェア、コメント数）
  
• サイト流入数やCVR（コンバージョン率）
  

さらに、こうしたデータを蓄積・分析し、次のアクションに活かす「PDCAサイクルを回せる広報体制」が必要不可欠です。

2-7. クライシス広報とレピュテーションマネジメントの強化

SNS時代の現在、ひとたび炎上が起きれば、企業イメージへのダメージは計り知れません。2025年は、クライシス（危機）対応力の有無が企業の信頼を左右します。

具体的なポイントは以下のとおりです。

• リスクシナリオの事前想定と対応マニュアルの整備
  
• 社内広報との連携による迅速な初動対応
  
• 透明性を重視した情報開示
  

あわせて、普段からのステークホルダーとの信頼関係構築が、危機時の“守りの力”になります。

2-8. 社員を巻き込んだ「共創型広報」

企業の信頼性は、社員の言葉や行動に大きく依存しています。

• 社員インタビューや働き方の紹介（採用広報）
• 社員によるSNS発信やメディア出演支援
• 社員のエンゲージメントを高めるインナー広報との連携

など、広報活動を全社的な「チーム戦」として設計することで、より説得力のある情報発信が実現します。

広報担当者が今すぐ取り組むべき実践アクション

ここまでのトレンドをふまえ、広報担当者が2025年に向けて実践すべきアクションを具体的に紹介します。

3-1. 社内外の広報体制の見直し

まずは、現状の広報体制を振り返り、必要に応じて以下の見直しを行いましょう。

• 社内関係部署との連携強化（マーケティング、経営企画、人事など）
  
• 外部パートナー（PR会社・制作会社）の活用
  
• 情報収集と発信のフロー整備
  

3-2. メディアリスト・SNS運用方針のアップデート

ターゲットとするメディアやSNSアカウントの方針を、トレンドに合わせて更新することが重要です。

• 新興メディア・記者の情報収集とリスト拡充
  
• SNS投稿内容のフォーマット・トーン見直し
  
• 社内ガイドラインの整備
  

3-3. 社内から“ネタ”を発掘する仕組みづくり

社内には意外なほど多くの「広報ネタ」が眠っています。以下のような方法で、情報を掘り起こす仕組みを整えましょう。

• 社員からの投稿を募る「PRポスト制度」
  
• 月1回の全社報告会で広報的視点を取り入れる
  
• 部門横断の情報共有会
  

まとめ｜広報の未来は「信頼と共感」の積み重ねから

2025年の広報は、単なるテクニックではなく、「どのように信頼を築くか」「誰とどのように共感を生むか」が問われる時代です。テクノロジーを活用しつつも、最後は人の言葉や姿勢が信頼を決定づけます。

トレンドを理解し、柔軟に取り入れる一方で、自社らしい広報スタイルを確立することが、長期的なブランド価値の向上につながっていきます。