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広報支援サービスとは?企業のブランド力を高める戦略的サポートの全体像

2025.10.13

広報(Public Relations)というと、一部の大企業が取り組むもの、あるいは宣伝活動の延長と捉えられがちです。しかし今や、どんな規模・業種の企業であっても、戦略的な広報活動が不可欠な時代となりました。なぜなら、モノやサービスの品質だけで差別化するのが難しくなった現代において、「信頼」や「共感」といった目に見えにくい価値をどう伝え、築いていくかが、企業の持続的な成長に直結するからです。 とはいえ、広報専任者を社内に置く余裕がない、広報のノウハウがない、何から始めればいいかわからない。そんなお悩みを抱えている企業も少なくないでしょう。そこで強い味方となるのが「広報支援サービス」です。 この記事では、広報支援サービスの概要から種類、メリット、注意点、そして選び方までを解説していきます。広報担当の方はもちろん、これから広報に力を入れていきたいとお考えの経営者様やマーケティングご責任者さまにも、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

1. 広報支援サービスとは? ― 企業広報の「右腕」となる存在

まずは、そもそも「広報支援サービス」とは何かからお話ししましょう。広報支援サービスとは、企業の広報活動をサポート・代行する外部サービスの総称です。広報専門のPR会社やコンサルティングファームが提供しており、サービスの範囲は非常に多岐にわたります。
たとえば:

  • 広報戦略の立案
  • メディア対応の支援
  • プレスリリースの作成・配信
  • 記者会見やイベントの企画・運営
  • 広報資料の整備(会社案内・Q&A・プレスキットなど)
  • メディアリレーションの構築
  • 危機対応(クライシスコミュニケーション)
  • SNS運用やデジタルPR施策の支援

つまり、社内に広報部がなくても、あるいは広報担当者が一人しかいなくても、こうした外部サービスを活用することで、プロフェッショナルな広報体制を築くことができるのです。

■ 広報と広告の違い:理解しておきたい基本の「き」

ここで、よく混同される「広報」と「広告」の違いについても触れておきましょう。広告は、自社が費用を払ってメディアに掲載・放映してもらう、いわば「有料の発信」です。一方、広報は、報道機関や第三者が取り上げる「無償の紹介」であることが基本です。

この違いが何を意味するかというと、広報で得られるメディア露出には「第三者視点」があり、だからこそ高い信頼性と説得力を持つということです。消費者にとって「記者が紹介している」「メディアに載っている」という事実は、企業自身が発信する広告よりもずっと深く響くものです。

2. 広報支援サービスの主な種類 ― 目的に応じて選べる多彩なメニュー

広報支援サービスと一口に言っても、その中身はさまざまです。ここでは代表的な5つのタイプをご紹介します。

(1)戦略立案・コンサルティング型

広報活動の土台となる戦略設計を行うサービスです。現状分析から始まり、誰に何を伝えるべきかというメッセージ設計、メディアターゲティング、年間の広報スケジュール策定など、まさに「広報の設計図」を一緒に描いていきます。長期的なブランド構築を目指す企業にとって、最も重要でかつ効果的なサービスです。実務に入る前の段階で、しっかりと軸を作ることが成功のカギです。

(2)プレスリリース作成・配信代行

自社ニュースを正確に、かつメディアに響く形で伝える「プレスリリース」は広報の基本ツール。とはいえ、文章の構成、ニュースバリューの見せ方、配信のタイミングや媒体選定など、実は高度なスキルが求められます。プロに任せれば、メディアの目に留まりやすいリリースの作成と、適切な配信ネットワークによって露出のチャンスを最大化できます。

(3)メディアリレーション構築支援

記者や編集者との信頼関係を築くことで、継続的にメディア露出を得られる体制を整えるサービスです。具体的には、記者向け勉強会の開催、記者懇談会の実施、1on1での関係構築支援などが含まれます。関係性の深さが、いざというとき(たとえば緊急対応時)に大きな力になります。

(4)広報ツールの整備支援

いざ取材が来ても、会社紹介資料やQ&Aが不十分だと対応が後手に回ってしまいます。そうならないために、必要な広報ツールを整備しておくことが肝要です。このサービスでは、会社概要、ビジョン、沿革、代表プロフィールなどを含む「プレスキット」の作成や、記者からの質問に備えたQ&A集の整備などをサポートしてくれます。

(5)SNS・デジタルPR支援

今や広報活動にSNSは欠かせません。X(旧Twitter)やInstagram、LinkedInなど、企業ごとに適したチャネルの運用方針を策定し、投稿内容の企画・制作を支援してくれるサービスです。インフルエンサーとのコラボや、話題性の高いキャンペーン企画までを提案してくれる会社もあります。

3. 広報支援サービスを導入するメリット ― 外部の力で広がる可能性

広報支援サービスを導入することで、企業にとってどのような利点があるのでしょうか。実務の現場で実感してきたメリットを4つご紹介します。

(1)プロの知見と経験に基づく対応が可能に

広報は単なる文章作成やイベント運営ではありません。危機対応、報道対応、発言の影響評価、炎上防止。こうした専門性を要する場面において、プロの支援は非常に心強いものです。広報支援サービスでは、そうした「現場の空気」を読みながら的確な判断を下せる経験豊富な担当者が対応してくれるため、安心して任せられます。

(2)メディア露出の機会が飛躍的に増える

信頼関係ができているメディアリストをすでに保有している広報会社が多いため、企業単独では難しいような媒体へのアプローチが可能になります。特に地方企業やスタートアップにとっては、大きなブレイクスルーにつながることも少なくありません。

(3)第三者視点による客観的な広報活動が実現

「自社の強みがわからない」「どこをニュースにしてよいのかわからない」――そんなお悩みも、第三者である広報会社だからこそ見える切り口があります。客観的な視点をもとにしたメッセージ設計は、社内だけで考えるよりも洗練され、受け手の心に届く可能性が高まります。

(4)リソース不足の解消とスピードアップ

人手や時間が足りずに広報活動が後回しになってしまう企業にとって、外部のサポートは大きな助けになります。必要な時に必要な分だけ依頼できるスポット対応も可能なので、柔軟な活用ができます。

4. 広報支援サービス活用の注意点。成功させるために押さえておきたいポイント

広報支援サービスは非常に頼りになる存在ですが、上手に活用しなければ効果が半減してしまうこともあります。ここでは、私が長年の経験で実感している注意点を4つご紹介します。

(1)自社の状況や目的を明確に伝える

広報支援サービスは万能ではありません。依頼する側が「何を実現したいのか」「どんな課題を抱えているのか」を具体的に伝えられなければ、最適な提案や支援を受けられません。

最初のヒアリングや打ち合わせの際には、会社の現状、業界動向、競合状況、過去の広報活動の成果・課題などを整理しておくことが重要です。

(2)コミュニケーションを密に取り合う

外部に任せきりにするのではなく、日々の連絡や定例ミーティングを通じて密にコミュニケーションを取ることが、成功のポイントです。広報支援サービス担当者が会社の空気感や最新情報を把握できているかどうかが、質の高いアウトプットにつながります。疑問点や要望は遠慮せず伝え、双方向のやりとりを心がけましょう。

(3)自社のブランドイメージを大切にする

外部の広報会社は多数のクライアントを抱えており、時には他社と似たような表現や手法を使うこともあります。自社の独自性やブランドイメージをきちんと守るために、提供された素材やプランは必ず社内で慎重にチェックしましょう。また、広報会社側にもブランドガイドラインや過去の事例を共有し、一貫性を保つ努力をお願いすることが必要です。

(4)効果測定と振り返りを欠かさない

広報は中長期的な活動であり、効果がすぐに見えるものばかりではありません。しかし、だからこそ定期的な振り返りが欠かせません。サービス提供側と一緒に、露出件数やメディアの質、SNSの反応、社内外の評価などの指標を設定し、効果を数字や具体例で把握しましょう。必要に応じて軌道修正を行いながら、PDCAを回すことが成功につながります。

5. 広報支援サービスの選び方 ― 自社に合うパートナーを見つけるために

世の中には数多くの広報支援サービス会社があり、どこを選べばよいか迷ってしまう方も多いでしょう。そこで、私がこれまでの経験から特に重視してきた選び方のポイントをお伝えします。

(1)広報の実務経験と実績が豊富か

単にPR会社や広告代理店であるだけではなく、実際に記者対応や危機管理、メディアリレーション構築の現場で成果を出しているかをチェックしましょう。

実績は企業のウェブサイトや過去の導入事例、口コミなどで確認できます。業界特有の事情を理解している会社は、提案も具体的で頼りになります。

(2)自社の業界や規模感に合っているか

製造業、IT、サービス業など業界ごとに特徴や伝えるべきメッセージは異なります。また、スタートアップから上場企業まで規模によっても必要な広報体制は変わってきます。自社に近い業種・規模のクライアントを持つ会社であれば、より実践的なアドバイスが期待できます。

(3)担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさ

広報活動は長期にわたるパートナーシップです。信頼できて話しやすい担当者がつくことが何より重要です。

打ち合わせ時の対応や提案のわかりやすさ、レスポンスの速さなども選定の判断材料になります。

(4)サービスの柔軟性と費用対効果

自社の予算や必要に応じて、スポットでの相談から継続的な包括支援まで幅広く対応できるか確認しましょう。また、単に費用が安いだけでなく、どれだけの価値を提供してくれるかを見極めることが大切です。安くて効果が薄いサービスは結局コスト高になることもあります。

6. まとめ ― 戦略的な広報活動で企業の未来を拓く

今回は「広報支援サービスとは何か」をテーマに、その全体像から具体的な種類、導入のメリット、活用時の注意点、そして選び方までをお伝えしました。広報は企業の「顔」であり「声」です。品質や価格だけでは差別化しづらい時代において、信頼され共感されるブランドをつくるために、戦略的で一貫した広報活動は不可欠です。

しかし、広報には専門性が高く、ノウハウも多岐にわたるため、自社だけで全てを担うのは難しいのが現実です。そんなときに広報支援サービスの活用は、強力な味方となります。

一方で、外部に任せっぱなしにせず、自社のビジョンやメッセージを大切にしながら、パートナーとしっかり連携していくことが成功のポイントです。これから広報支援サービスの導入を検討される方は、今回のポイントを参考に、自社に最適なパートナーを見つけていただければ幸いです。広報の力で、企業の未来をより明るく、確かなものにしていきましょう。

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広報は単なる情報発信にとどまらず、企業の「らしさ」を伝え、社会との信頼関係を育む戦略的な取り組みです。ブランド価値を高め、事業の成長を後押しするためには、自社に合った広報の体制と方針を整えることが欠かせません。

「何を伝えるか」以上に「どう伝えるか」が問われるいま、信頼される広報パートナーの存在が、企業にとって大きな武器となります。 「うちの広報、これでいいのかな?」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。企業の個性と成長フェーズに寄り添い、最適な広報戦略をご提案いたします。