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広報コラム

ChatGPTがあれば広報いらず?進化する広報と変わらない本質

2023.5.31

この広報コラムでは、プラスカラー取締役の斉藤が日々インプットした情報をご紹介するとともに、広報に難しさを感じている企業の経営者様や広報ご責任者様、現場で広報活動と対峙しながら次の一手を模索している広報ご担当者様に向けて、今までの広報経験をもとにした知識・ノウハウを共有していきます。 コラムをきっかけに気づきを得て、自考・自走していくための一助となれたら幸いです。

広報は、ChatGPTに取って変わられる仕事なのか?

2023年3月頃から巷で話題のChatGPT。
お恥ずかしながら、何がそんなにすごいのか、面白いのかがまったくわからず、そもそもChatGPTってつまり何??という状態で1ヶ月ほど過ごしてしまいました。

そんな時、株式会社ビルコムさんから「ChatGPTと広報DX ~ PRの効率化、高度化の可能性を探る」というセミナー案内がメルマガで届き、知りたい熱が再沸騰!ということで、今回は「ChatGPTと広報の関係」についてインプット&アウトプットした内容をご紹介します。

今回ChatGPTを知るにあたって、いくつかの記事を参考にしながら下記項目を私なりに要約しました。
・ChatGPTとは何か?
・ChatGPTがウケている点
・ChatGPTの懸念点

ChatGPTが広報に与える影響とこれから広報人材に求められるスキルについて考察していきます。

ChatGPTとは何か?

Wikipediaで確認したところ、ChatGPTとは、人工知能の研究開発に特化した米国企業・OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボットだと説明がありました。ChatGPTを利用することで、質問に対する答えをもらえたり、歌詞や音楽、エッセイ、短編小説などを書いてもらうこともできるようです。
なるほど。
ビルコムさんのセミナーレポートでも、広報・PR領域でも様々な業務への活用可能性があり、広報担当者の間でも話題になっていると書かれていた理由がわかりました。
これがあれば、プレスリリースや採用広報記事、SNSの投稿文章といった広報コンテンツがラクラク作れてしまう可能性を秘めているというわけですね。

スイスのUBSによると、2022年11月30日に公開されたChatGPTは、2023年1月に1億人のアクティブユーザー数を記録したとのこと。いまや多くの人が使っているTikTokで9ヶ月、Instagramで2年半を要したのと比較すると、わずか2ヶ月で達成したChatGPTの人気はハンパないことが一目瞭然です。

ChatGPTがウケている点

なぜこんなにChatGPTがウケているのか?
どうやら、その回答の精度が非常によいということみたいです。
ChatGPTに質問を入力すると、あたかも人間とやりとりしているような自然な会話ができます。これは、前の会話の文脈をふまえて回答を調整しているからなのだそう。回答の精度も改善が進んでいて、有料版のChatGPT Plusにも搭載されている新たな言語モデルGPT-4(これが2023年3月に発表されて、話題になっていました)は、アメリカの司法試験の上位10%に入るような正確な回答ができると発表されています。

そんなに精度が高いのか!そう聞いたなら確かめずにはいられない!ということで、試しに私もやってみました。

「株式会社プラスカラーのかっこいい紹介文章を書いてください」

「プラスカラーは、常に最先端の技術とデザインを融合させ、革新的なソリューションを提供する、日本を代表するIT企業の一つです。

当社は、創業以来、クライアント企業のビジネス課題に対し、常に革新的なアプローチを追求し続けてきました。その結果、業界トップクラスの実績と信頼を築き上げ、多くのお客様から高い評価をいただいています。

私たちのサービスは、デザイン性と機能性の両方に優れた製品やシステムを提供することに特化しています。当社のプロフェッショナルチームは、高度な技術力と優れたデザインセンスを持ち合わせ、お客様のニーズに応えるために最善を尽くします。

私たちは、常に新しい可能性を追求し、革新的なアイデアを生み出すことに情熱を持っています。ビジネスにおいても、社会においても、常に進化し続けるプラスカラーは、あなたのビジネスの成長を強力にサポートします。」

どこの会社ですか(笑)。

しかもこの文章、書き出しに30秒くらいかかっていました。
要するに、指示出しがざっくりだったからですね。そこで次に、下記のように質問を変えてみました。

「東京都渋谷区にある広報PR会社の株式会社プラスカラーについて、人の心に刺さるエモーショナルな紹介文章を書いてください。」

その結果が、こちら。

「株式会社プラスカラーは、渋谷区に拠点を置く、広報PR会社の中でも際立って異彩を放つ存在です。

私たちは、ビジネスを通じて人々の心に響くメッセージを発信し、社会に良い影響を与えることを使命としています。そのため、常に感性に訴える美しく心を揺さぶるコンテンツの制作に取り組んでいます。

当社は、多様なクライアントからの依頼に応え、幅広い業界で実績を積み上げてきました。私たちのサービスは、常にクライアント企業のビジョンや目的を共有し、最高の成果を追求します。

また、私たちは社員一人ひとりが自己実現し、社会的貢献を果たすことを目指しています。そのため、社員のアイデアや意見を尊重し、多様性を尊ぶ企業文化を築いています。

私たちの情熱とクリエイティビティを結集し、あなたのビジネスを強力にサポートします。株式会社プラスカラーは、常に感動を与えるコミュニケーションを提供し、人々の心を揺さぶり続けます。」

先ほどよりは確からしい情報が出てきました。
指示出しをどれだけ明確にするかによって、得られる回答の精度や出来栄えが変わってくるということがわかりました。

それなりの文章が出てきたと思いますが、異彩を放つ存在とか、社会に良い影響を与えるとか、最高の成果を追求するとか。よくよく読むとふんわりしていて、オリジナリティには欠けているのが難点だな、と思いました。しかし、もしかしたらこれは今まで私たちが言ってきたことがふんわりしていたのかもしれない!?もしくは質問がまだ曖昧だったのか・・・とも考え直したので、後日検証してみることにします。

ChatGPTの懸念点

試しにやってみたら結構おもしろくて、しばらく色々な問いかけをしていました(笑)。

ものすごい便利ツール!と思うものの、人気者にも裏がある、というように、どこかに穴があるのでは?と思い調べたところ、このChatGPTにもやはり気をつけなければいけない点がありました。

色々と調べた結果、下記のような注意点が挙げられます。
・不正確な回答
・不適切な表現
・情報漏洩リスク

2023年3月時点のChatGPTは、2021年以前の情報を元に回答を生成しているため、最新の情報が反映されないため、回答が最適でないこともあるようです。
また、基本言語が英語であるため、日本語対応も遅れている模様。私も試しに日本特有の文化である神社について質問したところ、チグハグな回答が返って来ることがありました。

上記のことから、回答や表現が誤っていたり不適切だったりする場合もあるため、ChatGPTからの回答を鵜呑みにしたり、確認を取らずに回答をそのまま使用することは控えた方がよさそうです。

また、ChatGPTに入力した情報はAIの学習に使用されるため機密情報や非公開情報をChatGPTに入力することは避けた方がよいとの報道も目にします。
開発元のOpenAIは、プロンプト(ChatGPTに対する指示を表したテキスト)をAIの再学習には使用しないと明言していますが、この方針を変える可能性もあるため、完全なる安全性は担保できないといわれています。

このようなことから、ChatGPTの利用を禁止する国や企業も出てきています。日本でも鳥取県が業務でのChatGPTの利用を禁止したと先日ニュースになっていました。

ぶっちゃけ、広報って近い将来いらなくなる・・・?

AIが進化したらAIに仕事を奪われてしまう、という話がありますが、このChatGPTが進化した先に、広報PR人材はいらなくなってしまうのか??
ふと、そんなことを考えました。
ですが、私の答えは「NO」です。

対峙するお客様の課題はさまざまであり、たとえ見えている課題は同じだとしても、それが起きている背景は個社ごとに違いますし、目指す未来や叶えたい要望も異なります。

そうなった時に、ChatGPTはどこまで正確に、その解決策を提示してくれるでしょうか?

質問の仕方次第では最高の解決策を教えてくれるかもしれませんが、それが最高である、と判断するのは結局私たち人間です。
逆に言えば、考えなくていいけど時間がかかっていることはこういったChatGPTやAIなどに任せて、空いた時間をひたすら考える時間に充てればいい、という話です。
そうすれば広報の質は格段に上がっていくことでしょう。

広報がいまもこれからも大切にすべき本質

広報がいまもこれからも大切にすべき本質は、「どうしたら目的を達成できるかを考えること」そして、「伝えたいという情熱」です。以前から言っているように、広報たるもの、愛がなければ務まりません(参考:「広報に向いている人材って?未経験でも問題なし!必要なのは、”愛”」)。愛があるからこそ言葉に熱がこもり、魂が宿り、その想いが人を突き動かします。これはAIにはまだできないこと、人間こそできることだと私は信じています。

自分の伝えたいこと、届けたい想いは、ぜひパッションを持って伝えて欲しいと、全広報さんにお伝えしたいです。

 

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